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ルドン~秘密の花園~ 三菱一号館

 

公式サイトはコチラ 

ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

 

訪問日:2/9(金)

ジャンル:油彩、エッチングや木炭を始めとした白黒画、パステ

時代:1800年代後半から1900年代にかけてのヨーロッパ

 

~はじめに~

今回は、

いつも印象派以降の西洋美術ファンにとって

かゆ~い所に手が届くような展示をしてくれる

あの三菱一号館美術館(自身の所蔵品のためにも)本気を出した

…といってもいいぐらいの展覧会だろう。

 

なにせ

この美術館が愛してやまない所蔵品である

「グラン・ブーケ」の仲間を

わざわざフランスのオルセーから呼び出したのだから。

 

これはスゴイ。これはスゴイぞぉ。

 

きっと小品ばかりを制作してきたルドンの貴重な大作シリーズである

「ドムシー城」の装飾画15点が一堂に日本で会す機会なんて

そうそう滅多にない。

 

いや、それどころか

もうないかもしれない。

 

それくらい、とっても貴重な機会に三菱一号館にて遭遇することができるのだ。

 

~装飾画について~

ルドンは印象派の時代に生きた画家であるが、

その独特な世界観と幻想的な花々、そしてルドンだからこその色彩感覚は

他の画家たち(例えば同年代であるモネとか)とは一線を画す

近代西洋画の奇才なのである。(私の主観だが)

 

そんなルドン、実は小品ばかりを制作していて

いわゆる大作はあまり残していない。

 

「ドムシー城」の装飾画はまさに

貴重すぎるルドンの大作を数点含んだ作品群なのだ。

 

ではその作品群を見るのに私たちはどのような点を留意すべきなのだろう。

これより下は私が実際に展覧会に訪れ感じたポイントである。

(あくまで個人的な意見なので信用しないでね!)

 

ポイントその1

「グラン・ブーケ」とその他作品の違い

 

ポイント2

ルドンだからこその色彩

 

ポイント3

奇抜に描かれた花々

 

・ポイント1について

実は「グラン・ブーケ」、他の作品とは違う特徴を持っている。

そうこの「グラン・ブーケ」、

唯一パステルで描かれた作品であり、

鮮やかな「青色」がメインに使われている。

 

パステルは発色が鮮やかな画材で、どれほどルドンが花瓶の青色を強調したかったのかがよく分かるだろう。

 

こんな大画面の作品をパステルで制作しようなぞ、

よほどのこだわりがなければするハズない。

 

パステルで描かれていることが大きく分かるのは「線」である。

油彩の方はハッキリとした線になっているが

「グラン・ブーケ」はボンヤリとした線になっていて

幻想的な画面作りに一役買っていると思われる。

 

他の装飾画を見比べてみて、「グラン・ブーケ」との相違点を見てみましょう!

 

・ポイント2について

さてルドンは当時の時代の画家に比べると、少し変な色遣いをしているように思う方々も多いのではないだろうか。

 

モネやルノワールといった印象派の大家は比較的

明度の高い色を使っているのに対し、

 

ルドンはというと

明度も彩度も低い色をベースに、

少しだけ鮮やかで発色が明るい色を所々使用している。

 

そうルドンという画家、

時代の最先端どころか

次世代絵画にも通じる絵を描いていたともいえるのだ。

(これも私の主観ですので信用なさらぬように)

 

ドムシー城の装飾画もルドンの類まれなる色彩感覚をたっぷりと楽しむことが出来る。

ちょっと花が浮いて見えたり

人物と背景が一体となった不思議な溶け合いも

ルドンの色彩感覚の賜物である(と思われる)。

 

装飾画を見る際は、ルドン独自の幻想的な色彩を楽しんでみてはいかがだろうか?

 

・ポイント3について

ルドンといえば花である。

たぶん、花である。

たぶん……(美術好き初心者ゆえに自信がない)

 

花といえば古今東西どの美術世界にとっても

メインとなって画面を華々しく飾ったり

絵に文字通り「花を添える」名脇役になったりと

美術には欠かせない存在であり、

その花をどう描くかによって画家や絵師の個性も出る面白いテーマでもある。

(そうだろう、たぶん……)

 

そんなルドンの花はというと

現実的でない花である。(相当ザックリ言えば)

 

画面の中で可愛らしくフワフワ浮いていたり、

空へ向かって「ニョキッ」とユニークな姿で伸びていたり……。

 

ルドンの描く作品に登場する花は

現存する花よりもずっと生き生きとした生命にあふれていて、

また我々の目に見えない世界へといざなう案内人(花?)でもある。

 

装飾画に描かれた花々の表情を楽しみ、また美しくも妖しいルドンの世界にひきこまれボーッと作品を見つめるのも一興だろう。

 

~装飾画以外の作品について~

さてルドンの魅力は印象派の時代の中にいながら

その作品の中は独特で幻想的な世界が広がっているということだろう。

 

ぶっちゃけ言うと

ルドンが印象派の時代に生きているなんて意外過ぎる。

 

それくらい他の印象派といわれるジャンルに属するといわれる画家たちとは違う作品をルドンは遺し、また現在でも数多の藝術愛好家に愛されているのだ。

 

それにしても

「グラン・ブーケ」が日本にあるなんてマジ奇跡。

よく手に入れられたよなぁ……。

 

・若き日の仏陀

ルドンの描く仏陀なんてこの字面だけでも興味をそそられる。

そして実際、

とても素晴らしい作品だった。

十分以上は前に立ってたよ私。

実はこの作品を見るために三回隣の装飾画コーナーを行き来していたんだ~。

 

何がいいかってこの作品、

仏陀の瞑想を油彩画の手法で描くと

こうなるのかーと思うのと同時に

日本やそれ以外の東洋にある

仏教画や仏像を照らし合わせてしまう

非常に深い沼に引きずり込む所だと思う。

 

そして沼に引きずり込まれると、怪しい人物を見るような目つきでこっちを見てくる学芸員さんのことを気にしなくなるんだゾ♡